息子は英会話に通っています。アルファベットの歌はもう完璧で、AからZまで一息で言えます。それなのに、テキストに出てきた cake を指して、こう読みました。
「カケ」
笑いそうになって、こらえました。cake を「カケ」と読むのは、ローマ字を素直に当てはめた結果です。c は「ク」、a は「ア」、k は「ク」、e は「エ」。習ったとおりに読んでいる。むしろ規則に忠実です。
でも、そこで気付きました。うちの子はアルファベットを覚えたのに、単語がひとつも読めていない。歌えることと読めることは、まったくつながっていませんでした。
覚えたのは文字の「名前」で、読むのに要るのは文字の「音」でした
学校でも英会話でも、最初に覚えるのはエー・ビー・シーです。あれは文字の名前です。ところが単語を読むのに要るのは、ア・ブ・クのような文字の音のほう。b の名前は「ビー」ですが、bag の中では「ブ」としか鳴りません。
この2つが地続きだと思われているために、ABCは言えるのに単語が読めない子ができます。うちの息子がまさにそれでした。3年通っても、読めるようにはならなかった。通わせ方が悪かったのではなく、名前と音を分けて教える場面が、どこにもなかったんだと思います。
先に入れた規則が、後から来た規則を壊していました
日本の子は、英語より先にローマ字を習います。a はア、i はイ。きれいに1対1で対応していて、例外もほとんどない。よくできた規則です。
その規則を覚えた頭に、英語が入ってきます。英語の a は cat では「ア」、name では「エイ」。しかも最後の e は読まないのに、前の母音を変える。ローマ字の常識で読むほど、英語では外れます。
仕事でこれに近いものを何度も見ました。先に入れた機能が、後から足した機能を静かに壊すやつです。単体で見ればどちらも正しく動いていて、組み合わせたときだけおかしくなる。誰も悪くないのに、原因を説明できる人がいないので、たいてい後から来たほうが「バグ」にされます。息子の「カケ」も、そうやってバツにされる側でした。
責めても直りません。順番の問題なら、順番の違いを先に見せればいい。そう思って、ツールを作りました。
音を知る、つなげる、まほうの e。3つに分けました
作ったのは、フォニックスアプリの「フォニックス修行」です。文字の音から英語を読む練習をする、無料のWebアプリです。
- もじの おと … 文字を見てその音を選びます。選択肢には、わざと文字の名前(ビー、シー)を混ぜてあります。名前と音は別物だと、選ぶたびに体で分かります
- つなげて よむ … c - a - t をつなげて読みます。選択肢が cut、cot、cap のように1文字だけ違う語なので、まん中の母音を聞き分ける力がつきます
- まほうの e … name が「ナメ」ではなく「ネイム」になる、あそこだけを正面から扱いました
1回10問で、数分あれば終わります。答え合わせでは、毎回ローマ字読みとの差を一文で出します。その場で音も聞けます。読み上げを使っているので、僕の発音を子どもにコピーさせずに済むのが、いちばん助かっているところかもしれません。
無料・登録不要・インストール不要で使えます
子ども向けのアプリを探すとき、いちばん面倒なのが会員登録とインストールだと思います。そこは全部なくしました。
- 無料 … 課金も、時間制限もありません
- 登録不要 … アカウントもメールアドレスも要りません
- インストール不要 … ブラウザでURLを開くだけです。スマホ・タブレット・パソコンのどれでも動きます
- 成績はサーバーに送っていません … 出題も採点も、その端末の中だけで動いています
- 広告なし … 途中で別の画面に飛ばされることもありません
音は端末の読み上げ機能で鳴らしているので、アプリを入れなくてもブラウザだけで聞けます。
カタカナで音を書くのは、正確ではありません
ここは隠さず書いておきます。英語の音をカタカナで完全に書くことはできません。「ブ」と書いた音は、実際にはもっと短くて、母音がほとんど鳴らない音です。それでもカタカナを添えたのは、まず音というものがあると気付いてもらうためです。
正確な音は、耳で確かめてもらうしかありません。読み上げボタンを押して、真似して声に出す。カタカナは目印で、答えではないと思ってください。うちでは、僕が先に真似して外して、息子に笑われるのが定番になっています。
発音を教えられなくても、隣で一緒に間違えられます
以前、子どもに「これなんて読むの?」と聞かれて固まる親のために、発音を確かめるアプリを作りました。あれは1語を調べるためのものです。今回のフォニックス修行は、その手前にあたります。調べなくても自分で読めるようにするための練習です。
英語が読めない原因を、才能や努力の話にしなくてよかった、というのが正直な気持ちです。原因は、文字の名前と音を分けていなかったことと、先に覚えたローマ字が邪魔をしていたこと。どちらも直せます。
お子さんが cake を「カケ」と読んだら、間違いだと言う前に、なぜそう読んだかを聞いてみてください。たぶん、こちらが思っているよりずっと筋の通った答えが返ってきます。