さるかに合戦を知っているだろうか。
カニがおにぎりを拾う。サルが柿の種と交換しようと言う。カニは受け取る。
お得だと思ったかどうかは、わからない。でも受け取った。
職場に、大きな柿が飛んでくることがある。
「これ、よろしく」
重い。どこから手をつけていいかわからない。でも受け取った。
柿の木が育つ。実がなる。
サルが木に登る。青い硬い柿を、下に向かって投げる。
カニは受け取るつもりなんてなかった。ただ、木の下にいた。
リリース前日、Slackが鳴る。
「この件、誰が対応してますか」
誰も手を挙げない。全員が誰かがやっていると思っていた。
ただ、最後までSlackを開いていた人間がいた。
その人が、柿をかぶった。
さるかに合戦で悪いのはサルだ、と子供の頃は思っていた。
でも大人になって読むと、柿は最初から宙を飛んでいた気がしてくる。
投げた側も、受けた側も、たぶん悪者のつもりはない。
ただ柿が大きくて、重くて、誰も最後まで持ちたくなかっただけだ。
昔話の時代から、でかい柿は誰かの頭に落ちることになっている。
構造は、何百年も変わっていない。
昔話も、今の話も。
この話は、誰に語り継がれるのだろうか。