アップロードの上限が10MBだと仕様書に書いてある。では、それを確かめるための10MBのPDFは、どこから持ってきますか。
この質問、テストの現場では毎回出ます。そして毎回、誰かのデスクトップにある実ファイルが使われます。去年の請求書。社内報のPDF。前の案件のスクリーンショット。動くことは動くのですが、これは静かに危ない橋です。
実ファイルの使い回しは、二重に事故ります
ひとつは中身の問題です。テスト環境とはいえ、実在の個人名や取引先名が入ったファイルをアップロードすると、それはもうテストデータではありません。スクリーンショットを不具合票に貼った瞬間に、チケットへ流出します。
もうひとつは、サイズが目的の値ぴったりにならないことです。上限が10MBなら、確かめたいのはちょうど10MBと10MBを少し超えたものです。手元にあるのは 8.3MB と 12.7MB。境界に立てないまま「まあ通ったからOK」で終わります。境界値でしか出ないバグは、だいたいこうして残ります。
探す時間も馬鹿になりません。「大きいファイル 何か持ってない?」とチャットで聞いて、返事を待って、共有ドライブから落として。1回5分としても、テストのたびに発生します。
サイズと形式を選んで、その場で作る
作ったのはダミーファイル生成ツールです。形式とサイズを選ぶと、その場でファイルができてダウンロードされます。
- 画像 … PNG・JPEG・SVG・GIF
- 書類 … PDF・Excel(xlsx)・Word(docx)・CSV・テキスト
- メディアほか … 動画・音声・ZIP など。あわせて19形式
- サイズ … 1KB・10KB・100KB・500KB・1MB・5MB・10MB から選択
Excel と Word は、拡張子だけ変えた偽物ではなく、実際に開ける形で作っています。「拡張子は通ったのに開けない」を検証と切り分けたい場面があるからです。
無料・登録不要。ファイルはどこにも送りません
業務で使う道具なので、そこが気になると思います。
- 無料 … 課金も回数制限もありません
- 登録不要 … アカウントもメールアドレスも要りません
- ブラウザの中だけで動きます … 生成も判定も、その端末の上で完結します。サーバーには何も送っていません
- インストール不要 … 会社のPCに何かを入れる稟議は要りません
どこで効くか
いちばん出番があるのはアップロード周りです。
- 上限の境界 … 上限ぴったりと、そのすぐ上。エラーメッセージが正しく出るか
- 許可されていない形式 … 画像だけ受け付ける欄に、PDFやZIPを渡したときの挙動
- 大きいファイルの途中経過 … 進捗表示、タイムアウト、二重送信の防止
- 一覧・詳細での見え方 … 長いファイル名、日本語のファイル名、サムネイルが作れない形式
「大きいファイルを入れたらどうなるか」は、仕様書に書かれないまま実装されることが多い場所です。書いていないから確認されず、確認されないから本番で出ます。道具が手元にあると、確認のハードルがぐっと下がります。
正直に書くと、中身は意味のないデータです
このツールが作るのは、指定したサイズと形式を満たすだけのファイルです。中の文章や画像に意味はありません。文字コードの検証や、業務データの再現には向きません。
文字化けや機種依存文字を試したいときは意地悪テストデータ生成器、日付の境界を突きたいときは意地悪な日付ジェネレーターのほうが目的に合います。道具は分けたほうが、どちらも短く済みます。
探す時間を、確かめる時間に回したい
テストで時間を食うのは、たいてい確認そのものではなく準備のほうです。ファイルを探す、アカウントを作る、データを整える。ここを削ると、同じ工数でも見られる範囲が増えます。
上限の値をテストするのに、誰かの請求書を使わなくて済むようになるだけでも、作ってよかったと思っています。